株式会社 経営共創基盤

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IGPI一周年カンファレンス

2008年4月17日(木) 秋葉原富士ソフトビル アキバプラザ5

経営共創基盤は4月に創立1周年を迎えた。それを記念して4月17日、東京秋葉原のアキバホールにて「次世代の産業と人材を創出するプラットフォーム構築に向けて」と題する一周年記念のカンファレンスを開催。竹中平蔵・前総務大臣、出井伸之・クオンタムリープ代表取締役など多彩なゲストと約170名の関係者と共に、当社のこの1年の歩みを振り返りつつ、日本経済の今後について展望した。

【事業活動報告】

一橋大学大学院商学研究科教授、経営共創基盤 経営諮問委員会 委員長 伊藤邦雄
経営共創基盤 代表取締役 冨山和彦

【特別対談】「イノベーションを起こすマネジメントとは」

クオンタムリープ株式会社 代表取締役 出井伸之氏 経営共創基盤 代表取締役 冨山和彦

【特別講演】「世界の中の日本、次なるステージへ」

慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所 所長 竹中平蔵氏

【レセプション】

乾杯挨拶:元産業再生機構 再生委員長、経営共創基盤 経営諮問委員会 委員 高木新二郎

【事業活動報告】

「事業価値創造支援における世界のスタンダードをめざす」

冒頭の事業活動報告は、当社代表取締役の冨山和彦に、当社経営諮問委員会の委員長でもある伊藤邦雄・一橋大学大学院教授が質問するという形で進行した。
 まず「経営共創基盤は産業再生機構の何を引き継ぎ、何を変えたのか」という当社のビジョンを確認する質問に、冨山は「事業と財務の両面から企業価値の向上にかかわるという基本は同じであるものの、当社の場合は、再生局面以外のフェーズ(ブレイクスルー、成長支援等)に対する支援も行っている」と答えた。そのうえで、「ハンズオン(人材投入)型の経営支援を通して、事業と財務の両面にリアルに精通した世界に通用する経営人材を創出することも目指しているほか、必要に応じて機動的なファンド組成による資金投入も可能とするなど、世界に類をみないビジネスモデル」であることを強調した。
 当社の“原資源”ともいえるプロフェッショナル人材は、トップマネジメントからミドルマネジメントに至るまで、既に50名を超えるが、冨山はその規模を「年内には100名規模まで拡大する」ことを表明した。
 冨山はまたこの1年の実績として、相談件数はすでに200件を越え、うち2割弱の案件を受注、さらにハンズオン型支援として当社スタッフを投入した事例は7件に及ぶことを報告した。受注案件の内訳は約半分が「ブレイクスルー・成長支援」であったと語った。
 また、冨山は、「アジアに進出している日系企業からの引き合いも少なくなく、近い将来アジアへの進出も検討中であり、業績面も当初計画どおりのパスを描いている」とも語った。
 こうしたダイアローグのなかで、伊藤教授は冨山個人の価値観にも触れ、「産業再生機構当時のカネボウの再生を見ても、経営者や社員、つまり人間に対する洞察力が優れている。その再生手腕にはよい意味での“日本流”を感じる」と述べた。単なる経営合理性だけではなく、支援対象企業のステークホルダーらと夢や価値観を共有していく冨山のスタイルを、伊藤教授は評価しているようだ。
 「これからの夢を、日付を入れて語れ」という伊藤教授の誘い水に、冨山は「CEO在任期間であるあと7年のうちに、世界のスタンダードになるようなビジネスモデルを確立したい」と明言。そのなかで「資本市場の流動性は高まる一方だが、人的資本はそう簡単には回っておらず、そこにギャップが生まれている。それが同期していくような仕組みをつくりたい」と述べた。
【特別対談】「イノベーションを起こすマネジメントとは」

「ビジネス×R&D×ファンド」のオープンなプラットフォームを

事業活動報告に引き続いて、クオンタムリープ代表取締役の出井伸之氏(ソニー最高顧問)を壇上に招き、「イノベーションを起こすマネジメントとは」と題する冨山との特別対談が行われた。
 クオンタムリープは出井氏が2006年9月に設立した、若手経営者と熟練したCEOとのコラボレーションによる新価値創造を目的の一つとする企業。同社と経営共創基盤は2008年2月に共同出資で、イノベーション・プラットフォーム社を設立するなど、日本の新たな産業創出にかける思いは共通のものだ。
 対談で出井氏は、「ソニー在籍時代には、まだ日本のグローバル企業において競争力を心配することはあまりなかったが、ソニー卒業後、国際競争という視点からこの国の現状をあらためて見渡してみると不安がもたげてきた。日本企業はR&Dといいながら、その多くはD(商品開発)に向けられており、本質的なR(長期研究)の部分が手薄だ。また研究開発の成果が具体的な事業化・製品化に結びつかない“死の谷”に陥る危険性もたえずはらんでいる。
 新しいテクノロジー領域でベンチャー企業および大企業から生まれてくるベンチャー事業体を支援していく」と、イノベーション・プラットフォームの目的を掲げた。
 社名にも示される、新技術・新事業創造のためのイノベーション・プラットフォームについて出井氏は、「ビジネス×R&D×ファンドが組み合わされた、文字通りオープンなプラットフォームでなければならない」と語る。それを受けて、冨山は「その部分に投入されるべきものとして、長期的な産業開発に資する民間部門における”ペイシェントなリスクマネー”が重要な役割を担うが、この部分が日本は弱い」と指摘しつつ、長期的・持続的なファンドレイジングと、テクノロジー・マネジメント、さらにガバナンス型投資を意識した新しいビジネスモデルを提案した。
 出井氏のクオンタムリープは、「ポスト資本主義モデルを日本からアジアに発信する」ことも企業ビジョンに掲げているが、こうしたアジアへの視線は、氏のソニー時代からのグローバルなビジネス経験に裏付けられているもの。中国、韓国、シンガポール、さらにドバイなどの状況にもふれながら、氏は「アジア各国と比べても、日本が本来もっていた長期的な視野に立つ資本主義の視点や機能が弱まっているのを感じる。資本集約と技術集約を同時に進めるなかで、その隘路を切り開いていきたい」と述べた。
【特別講演】「世界の中の日本、次なるステージへ」

「日本は世界に向けて戦略的アジェンダを提起すべきとき」

カンファレンスの掉尾を飾ったのが、竹中平蔵・元総務大臣・郵政民営化担当大臣(現慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所所長)の特別講演「世界の中の日本、次なるステージへ」だ。冒頭、竹中氏は「今は政治家ではないので、ここで何を言っても失言にはならない。思い切った問題提起をしたい」と会場を沸かせたあと、日本経済と政治の現状を次のように分析した。
◆イギリスの経済専門誌「エコノミスト」は、先頃の日本特集のタイトルで「Japan」をあえて「Japain」と表記し、経済構造改革のモメンタムが明らかに低下し、“痛み”を抱える現在の状況を揶揄した。
◆日本がグローバル資本の日本がグローバル資本のものすごい力を正面から受け止めて、どのように国づくり、経済づくりをするかが問われている状況は今も変わらない。
日本には優れた環境技術があり、エネルギー効率が世界で最も高いことなど、強く誇れる部分を有しているにもかかわらず、それをグローバルに戦略的活用できていない。
◆小泉政権が成し遂げたのは、不良債権を減らし、失われた10年を終わらせたこと。これを引き継ぐ安倍政権の役割は重要だったが、掲げた成長戦略のスローガンに実態が追いつかないまま退陣に至り、その後を引き継いだ現在の福田政権も改革続行を謳いながら、いまだに「戦略的アジェンダ」を世界に対して提示できないままでいる。
竹中氏は「戦略的アジェンダ」を「誰の目にも見えやすく、それが倒れると何かが起こるというワクワク感をもたらす“ボーリングのセンターピン”」になぞらえる。そのうえで、「私のアジェンダ」を具体的に披露した。
一つは「東大民営化」
知識産業の時代には世界的に競争力のある大学を創り出すことは重要。東大を文科省のくびきから解き放ち、競争的資金を注ぎ込むべきだ。
二つ目は「法人税の引き下げ」
法人税の引き下げを議論しない成長戦略はありえない。このままでは日系企業は海外で儲けたお金を日本に戻さなくなる。少なくとも法人税特区を作ることの意味は大きい。
そして三つめが羽田空港の24時間化や航空会社が自由に路線を設定できる「オープンスカイ(航空自由化)政策」だ。いずれもセンターピンにふさわしい具体的なターゲットといえよう。
氏は最後に「一個人の独立なくしては一国の独立はない」という福沢諭吉の言葉を引きながら、いまこそすべての企業、国民一人ひとりが、政府や大企業にたよらず、自ら勉強しながら、道を開くことの必要性を訴えた。
【レセプション】
カンファレンス終了後はささやかなレセプションが催された。乾杯の音頭を取った高木新二郎氏(元産業再生機構 産業再生委員会 委員長、経営共創基盤 経営諮問委員会 委員)は、現在座長として準備段階にある「地域力再生機構(仮称)」の活動状況にふれ、「地域疲弊の原因は、行き着くところ“経営不在”ということに尽きる。日本再生のためにはこうしたプリミティブなところでまだまだやらなければいけないことがある。経営共創基盤が掲げる新しい時代における経営人材創出という役割は、ここでも求められている」と語った。