IGPI卒業生紹介

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安岡 祥二

LINE株式会社
執行役員 経営企画室室長
2013年5月IGPI入社、2017年6月退職

全社戦略から経営計画策定、
時には資本業務提携の
交渉も手がける

CEOをサポートする機能を持つ新組織

 約4年在籍したIGPIからLINEの執行役員経営企画室長に転じたのは、2017年7月のことです。私は、学生時代からインターンをしていたライブドアに、新卒で入社しました。入社後は主にM&A案件や投資案件に携わっていましたが、入社から2年経たないうちに、いわゆる「ライブドア事件」が起こります。事件後は、子会社や事業の第三者への譲渡や清算、証券訴訟対応、株主還元施策の検討・立案などを約4年にわたって担うことになりました。
 事件が起こり、会社を去る人も沢山いました。正直なところ、明るい未来の展望があるわけでもなく、処遇が変わることもなく、モチベーションの維持もままならない時期がありました。しかし、自分が投資実務を担当してグループ入りした会社もあり、逃げるように出ていくことは本意ではありませんでした。それをしたら、今後ずっと逃げていく人生になるような気がしていました。
 そんな中、最後に本丸のライブドアのスポンサーが現れます。それがNHN Japanでした。後にLINEの母体になる会社です。ですから、現CEOの出澤剛もそうですが、LINEにはライブドア出身者が、事件後の苦しい時期にも前を向いて事業を再建に導いたメンバーが、たくさんいたのです。それであるとき、ライブドアでの困難な時期に一緒にお仕事をさせていただいた先輩に、「戻って来ないか?」と声をかけてもらったのでした。
 LINEは、急速に事業や組織の規模が拡大する中で、CEO直下でコーポレート企画機能を強化する組織を、新しく作ろうとしていました。出澤からは、どんな未来展望を描いているか、どんな組織を目指しているか、どんな課題を感じているかについて話を聞きましたが、すべてがとてもエキサイティングに感じました。急成長を遂げるベンチャー企業を100年続く会社にしていく、コーポレート企画の立場でそれに貢献していくというミッションだと認識しました。
 仕事は、全社戦略、事業のポートフォリオ検討、経営計画策定、リソースを管理する体制づくりなど、いわゆる経営企画業務が中心ですが、他にもいろんなことをやらせてもらっています。外部との資本業務提携での個別案件の推進に携わったり、個別事業の戦略策定や推進をサポートしているものもあります。個々の組織単位では最適化できない、全社横断的に取り組むべき課題を特定し、さまざまな部門と連携しながらソリューションを推進していく。それが、私たちの組織のミッションだと考えています。

「日の丸を背負って仕事ができるよ」という印象的な言葉

 キャリアのようなものについて、私はあまり意識したことがありません。そのときどきで、目の前のことを一生懸命にやっていたら、ご縁がつながったりする。LINEもそういうご縁だと感じましたし、IGPIへの参画も、実は先輩からお声がけいただいたことがきっかけでした。ライブドア入社にあたり、私はインターンを経験したのですが、それを誘ってくれたライブドア時代の先輩が、IGPIに参画していたのです。
 ライブドアの後のキャリアもそうです。ライブドアを退職したあと、私は一緒に仕事をさせていただいたことのある投資銀行からお声がけをいただき、その会社に入社しました。事業会社でM&Aを担当し、得られたものもありましたが、投資銀行ではまた違う専門家としての高いスキルが求められ、大いに鍛えられることになります。
 そんな折、知人の結婚式で、すでにIGPIに参画していたライブドア時代の先輩に久しぶりに会うことがあり、誘いの声をかけていただきました。ちょうど投資銀行では、入社以来お世話になった上司が退職することになっていました。携わっていたM&A案件も一度落ち着いたタイミングでした。私自身、初めての子どもが生まれるタイミングで、これからのキャリアやライフスタイルの見直しもしたかった。IGPIは幅広くクライアントをサポートするスタイルの会社なので、財務から戦略まで、これまでの自分の経験や強みも生かしながら、より成長していけると感じました。
 先輩は何より楽しそうに仕事を語っていました。現代表の村岡さんからは「日の丸を背負って仕事ができるよ」と言われたことが強く印象に残っています。

IGPIで教わった「何をやるべきか、自分ごとで考えよ」

 IGPIは再生中心の仕事をやっているイメージが強かったのですが、実は私は再生案件には一度も関わっていません。IGPIのプロジェクトのポートフォリオも、再生のみならず多様なプロジェクトが存在しています。そして、入社してまず感じたのが、人の多様性でした。投資銀行にもいろんな人がいましたが、財務のプロという同質性があるものです。IGPIは、事業会社出身者、金融出身者、コンサルティング会社出身者、公認会計士、弁護士など、様々なバックグラウンドのメンバーがいる。人のタイプも、まったく違う人たちがいる。でも、それぞれが尊重しあって仕事をしているのです。
 私は、M&Aや戦略投資、財務系のプロジェクトをはじめ、事業計画、戦略策定、新規事業、事業承継、ガバナンスなど、幅広いテーマでプロジェクトに携わらせていただくことができました。すべてがチャレンジでしたので、一つひとつが成長の機会でした。上司のスタンスも、自らがステップアップするにしたがって、どんどん意図的に「任せる」方向へと変化していきました。そして言われたのは、そのクライアントのために何をやるべきか、自分がそのクライアントの社長ならどうするか、自分ごとで考えよ、でした。我が事意識を強烈に持って没頭する。これは、自分の思考レベルや意識レベルを大きく変えてくれたと思っています。
 本気でお役に立ちたいという気持ちで取り組んでいたことで、クライアントから「御社みたいな会社は初めてだ」、「IGPIさんなしではここまで来られなかった」と、本当にありがたい言葉をいただいたこともあります。最後に携わらせていただいたプロジェクトでは、クライアント総出で送別会を開催してくださり、一生忘れたれない思い出になりました。IGPIを離れてLINEに入社した理由のひとつには、一つひとつのプロジェクトにそこまで没頭するなら、そろそろ当事者としてやってみたい、という思いもありました。
 LINEでは、経営層と密に接する環境で仕事をさせてもらっています。IGPI時代から常にクライアント経営者の高い視座を近くで見ながら仕事をする機会に恵まれたので、その経験は大いに活きていると感じます。一方で、私たちの組織の役割は、現場の最前線での情報にしっかりキャッチアップし、最前線と経営との橋渡しをして最適化していくことだと考えています。
 それこそ、サービス部門とも管理部門とも違って、事業のエンジンでも、会社のインフラでもない、存在意義が自明ではないのが、私たちの組織です。ユーザーやクライアントに向き合い価値を提供する主役であるサービス部門が、いかに気持ちよくパフォーマンスを発揮できる環境を作れるか、それにどう貢献できるか、自分たちで付加価値を作っていく。それを常に意識しています。
 また、チームやそこで活躍するメンバーにも大いに成長してほしいですね。私がIGPIで徹底して学んだ、我が事として考え、自分で動き、まわりを巻き込んで推進していくベーススキルを身につけてほしい。そうした人材をどんどん生み出して、組織も成長させていきたいと考えています。