既存の限界を突破する新会社設立と価値創造
デジタル技術の進化が加速する中、あらゆる業界でプロダクトやサービスの高度化が求められている。従来の事業の枠組みでは変化のスピードに追いつくことが難しく、新たな価値を生み出すための組織設計が喫緊の課題となっている。
本記事では、IGPIが、製造業であるクライアント企業のデジタル領域における競争力を強化するため、新たなソフトウェア・クラウドサービス事業を担う新会社の立ち上げを支援した事例を紹介する。
誰とともに、何に挑んだのか?
新たなビジネスモデルの確立に向けた挑戦
クライアント企業は、これまでのハードウェア中心の事業構造から脱却し、ソフトウェア・クラウドを活用した新たなビジネスモデルの確立を目指していた。しかし、専門性の高いグローバル人材を確保するためには、従来の報酬体系や人事制度では十分ではなく、競争力のある仕組みへの刷新が求められていた。
さらに、組織文化や意思決定のプロセスが新事業の機動力を阻害し、新たな挑戦が進めにくいという課題もあった。既存の枠組みにとどまらず、自らの意思で価値を生み出していくためには、組織のあり方そのものを変革し、主体的かつ迅速に事業を推進できる体制の構築が必要であった。そこでIGPIはすべての組織機能を新たなビジネスモデルのために作り上げるべく、新会社の設立を提言した。
非連続な変化に向けた取組み
環境を整え、人材を確保し、新たな価値創出の基盤を築く
まず、グローバルな市場に対応できる人材を確保するために、親会社とは異なる報酬体系や人事制度を構築。他業界の人事制度も踏まえながら、新会社の成長戦略に適した制度を設計し、多様なバックグラウンドを持つ専門人材が安心して挑戦できる環境を整えた。また、多様なグローバル人材をマネジメントできるリーダーも社外から登用した。

加えて、新会社が親会社の影響を受けすぎることなく独自に意思決定できるよう、運営の仕組みを構築。柔軟かつ迅速な意思決定を可能にし、新たな市場機会を積極的に捉えられる体制を整えた。具体的には、新会社独自の社内規程を定め、ガバナンスを維持しながらも、ベンチャー並みのスピードで意思決定ができる決裁ルールを導入した。
さらに、ソフトウェア・クラウドを活用した事業モデルへの転換を進めるため、組織の役割や業務プロセスを設計し、従来の延長線上にはない新しい価値創出の仕組みを構築。新技術やサービス開発への投資を強化し、競争優位性の確立を図った。結果として、短期的なマネタイズにとどまらず、中長期の技術シーズ探索や活用が活性化し、持続的な探索マインドが醸成された。
経営・経済の歴史へのインパクト
親会社を超えた価値創出へ
従来の事業モデルでは、特定の顧客の要望に応えることが中心だったが、新会社はそれにとどまらず、市場の変化を牽引する立場へと転換。新たな技術やサービスを積極的に開発し、顧客の枠を超えて価値を提供することを目指している。

この取り組みにより、企業の競争力強化だけでなく、業界全体の変革を促進し、ソフトウェア・クラウドを活用した新市場創出を担うことになる。従来の常識にとらわれず、独自の視点で未来を切り拓き、持続的な成長へとつなげていく。