IGPI VOICE

IGPIの醍醐味は「再生」にあり 成果にこだわる企業の救急医として

田口 拓弥

マネジャー(IGPI)

2018年9月入社

プロスタッフ(中途入社)

孫正義氏直下で鍛えられたソフトバンク時代

ソフトバンクの創業者、孫正義さんと働きたいという気持ちから新卒で同社に入り、クラウドや人工知能の営業や事業開発を担当しました。その後、内定者時代から入っていた孫正義後継者育成機関「ソフトバンクアカデミア」の新規事業コンペで2年連続優勝したことで、その場で孫さんから「もっと面白いことをやるからオレのところに来い」と誘われました。他にやりたいことがあったので、その場で一度は断ったのですが、翌日には異動が発令され、持株会社のソフトバンクグループで再エネの事業開発、投資に携わることに。世界の名だたる経営者達と関わり、グローバルトップのビジネスを体感する日々でした。

アフリカ諸国への3泊8日の強行出張など、フィジカルとメンタルを徹底的に鍛えられる刺激的な環境だったのですが、当時20代前半の若手で、自分がバリューを十分出せているのか疑問でした。野球で例えると、地方の高校野球から突然メジャーリーグにデビューした感覚です。何兆円という巨大事業の一部にしか関わることができない中で、どこか物足りなさも感じていました。

事業、財務、税務、法務。大事なことはすべてやる「全方位」の再生案件

学生時代から、経営で大事なことは全部やるIGPIのスタイルには注目していました。孫さんも、財務、税務、法務の要点を具体的なレベルまで理解した上で経営判断していたこともあり、何社かプロファームから内定をもらった中で、迷わずIGPIを選択しました。

入社当初は新規事業プロジェクトを担当していましたが、IGPIの醍醐味は再生案件にありと考え、入社から2年経ったころ、自ら志願し、再生案件を担当することに。クライアントは、中国の競合企業の台頭によって、赤字が膨らみ始めていた日系の電子部品メーカーでした。人間の身体でいうとガンの「ステージ1」の状態です。IGPIが、再生計画策定から資金調達、営業改革、リストラクチャリングなど全社の改善を主導する中、私は現場プロマネとして営業と不採算事業の売却を担当しました。不採算事業の売却では、買い手候補である中国政府系ファンドを相手に、ハードな条件交渉をサポート、また、売却対象が宇宙産業で使用される部品だったため、外為法を意識しながらの慎重な交渉が求められました。

ようやく交渉が妥結したところで思わぬ修羅場が待っていました。親会社と子会社との間で売却に伴うみなし配当金の源泉税が発生し、2か月後に数億円の現金が必要になったのです。親子間での配当所得は本来課税対象ではないのですが、当時の税法では、一度納めてから還付を受ける手続きになっていたというのが理由でした。再生フェーズの企業にとって致命的な事態。何食わぬ表情で淡々と対応していましたが、内心はヒヤヒヤで、「子会社の社長にも納得してもらった。資金のメドもついた!」と思ったら、夢の中の出来事だったりと、睡眠中も働く「胡蝶の夢」のような日々でした。

幸運なことに、リアル世界でもIGPIの別チームが資金調達のメドをつけてくれ、ピンチを切り抜けることができましたが、事業、財務、税務、法務、全方位でなんでもやるIGPIスタイルの重要性を改めて実感しました。 現在では、損益も大幅に改善し、営業利益率5%を超えれば優良と言われる製造業で、営業利益率10%超の健康体の企業になっています。

会社更生下での緊急治療、徹底的な見える化とクイックヒットで結果を出す

この後取り組んだ、国内最大手の鶏卵企業「イセ食品株式会社」(現「たまご&カンパニー株式会社」の再生案件では、現場の改善隊長として、事業全般の再生を担当しました。会社更生法の適用を申請し、裁判所の管理下で再生に取り組む、いわば「ステージ4」の瀕死の状態。過大な設備投資や本業以外への資金流出を続けたところに、鶏の餌である飼料費が高騰した結果、資金が持たなくなっていました。もたもたしていると、患部がどんどん悪化します。治療のスピードが勝負で、目先の利益改善にこだわりながら、即効性の高い対策を講じました。

現場に入って驚いたのは、各部門が高い独立性を持つあまり、グループ全体での横串での損益を全く把握できていなかったことです。どんぶり勘定では、適正な価格設定ができません。「徹底的な見える化」を進め、あらゆるコスト改善策を実行していくと同時に、利益が出せる適正な価格に改定するため、顧客との価格交渉の支援にもあたりました。最大手であるイセ食品が価格を適正化したため他社も追随し、鳥インフルエンザ流行の影響もあって市場のタマゴ価格が上がるなど、社会にも大きな影響を与えました。

「まさか」の危機が何度も発生しましたが、牛丼を食べながら一日中社員総出で対応する等、一丸となって粘り強く損益改善を進めた結果、入ってから1年強でV字回復し黒字に転換。今は我々がいなくなった後も、しっかりと自走し、成長を続けられるような仕組みづくりに取り組んでいます。 私自身もさらなる成長を求めて、IGPI内の再生プロジェクトに携わるだけでなく、グループ外のPEファンドに出向して、ファンド業務にも従事しています。

IGPIは企業の「救急医」 知的好奇心と成果へのこだわりで命を救う

企業の課題を解決するという点において、コンサルは、よく医師に例えられます。医師も消化器科のような疾病部位に強い医師もいれば、小児科のような身体のフェーズごとに強い医師もいますが、IGPIはいわば「救急医」。企業の規模や業種、病の種類に関わらず、「ジェネラリスト」としての治療が求められます。実際、医師の世界でも、トップクラスの人達は、卒業後数年は救急医としての勤務を希望し、修羅場経験を積んでいます。企業の生き死の最前線で修羅場経験を積めるという意味で、再生はIGPIを象徴する案件だと言えます。

企業の救急医として、必要な力は大きく2つあります。一つは課題を即座に察知し優先順位付けする力、救急医療でいう「トリアージ」です。常に知的好奇心を持ち、全方位での知見を吸収できるジェネラリストでなければ、少しの遅れが命取りになる再生の現場では役に立てません。 二つ目は現実の成果にこだわり、やり抜く力。要は自分の手金を出してでも「やります」と言えるかどうか。プロファームの中には、紙を描いて終わりの会社も多くありますが、IGPIは結果が出るところまで伴走し、再生をやりきります。知的好奇心を持っている人は多いですが、成果に固執してやりきる力も持ち合わせている人はなかなかいません。

ハードで大変なイメージもあるかもしれませんが、クライアントと一体となって結果を出すことには何事にも代えがたい充実感があります。全方位でどんどん新しいことにトライしてみたい、実際に何かを変えてみたいと強く望む前向きな人に是非我々の仲間になってほしいです。

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